クリエイティブシェアオフィスtabの公式サイトです。

プラザ映像祭 – 映画をつくる劇伴音楽の力

10月7日(金)~9日(日)の3日間、札幌市民交流プラザでありとあらゆる音と映像の冒険が楽しめる「プラザ映像祭」から、今回は最終日10月9日(日)のクロージングプログラム「映画をつくる劇伴音楽の力」のご紹介です。
作曲家の岩崎太整さんをお招きし、岩崎さんが音楽を担当した傑作映画『ワンダーウォール 劇場版』の上映と、60分のトークを開催します。

岩崎太整さんは札幌市出身の作曲家で、もはや音楽を担当された映画・ドラマ・アニメを見ない年はないほど、あっという間に日本を代表する作曲家の一人になられました。映画では『SR サイタマノラッパー』、『モテキ』、 『ジョーカー・ゲーム』、『竜とそばかすの姫』。ドラマでは『全裸監督』、『拾われた男』。そしてアニメでは『血界戦線』、『ひそねとまそたん』、『スプリガン』。どれか一つと言わず、二つ三つ四つ、タイトルをご存じではありませんか?

映画『モテキ』では第35回日本アカデミー賞 優秀音楽賞を受賞。映画『竜とそばかすの姫』で、第45回日本アカデミー賞 最優秀音楽賞を受賞されています。

音楽監督、音響監督、主題歌…映画音楽=劇伴って?

そもそもこの、映画音楽。映画のエンドロールを見ていると、音楽、音響、主題歌…と流れてきますが、映画における音楽=通称・劇伴とは、「BGM」とはどう異なるのでしょう?

私も、何年も札幌で爆音上映会を企画してきたので、映画における音楽・音の重要性をそれはそれは認識しているはずなのですが、劇伴とは作曲の中でもかなり特殊ではないでしょうか。

  • 映画製作におけるどの段階で音楽を作っているのか?
  • 脚本からストーリーを理解して、シーンに沿った音楽を映画と同時進行で作っているのか?
  • 編集段階の映画を見てから作ることができているのか?
  • それとも、あらかじめ喜怒哀楽のざっくりしたオーダーに沿って、映像を見ずに作っているのか?

疑問は尽きないわけです。

幸福な風景であるにも関わらず不穏な音楽が流れると、この先は一筋縄ではいかないのだなと予期させるし、残酷なシーンで美しい音楽が流れると余計に怖い(笑)。映画の印象を180度変え得る映画音楽とは、作曲家の仕事の中でも、映画の演出そのものを理解してこそなのではと、実に奥深く興味深いのですよね。

そして、この劇伴作家を招く企画にあたり、「”音のかたち”」の大西景太さん同様、実現の際には、一人目のゲストは絶対に岩崎太整さんと決めていました。

どうしたって耳に残る!『SR サイタマノラッパー』

冒頭で「あっという間に日本を代表する…」と書いたのは、2009年、入江悠監督『SR サイタマノラッパー』公開当時、経営していたイベントスペースで上映させてもらったことがありました。心ばかりの小規模な上映会にも関わらず、スタッフキャストの皆さんで来てくださり、その一人が『SR サイタマノラッパー』音楽の岩崎太整さんでした。地元新聞の取材を受けてくださった記憶もあります。

『SR サイタマノラッパー』はこのラッパーたちが思い入れだけで作りそうな曲をイメージして、わざとチャチく、ダウンコンバートして作曲したそうですが、それを最初に指摘したのがライムスター宇多丸さん。さすが!

好きなヒップホップにおいて、格好いい曲とはどんなものかをわかっていながら、わざとチャチく作るのは本当に難しいことだと思うのですよね。ダサすぎても愛されないわけですし、岩崎さんの絶妙なセンスとしか言いようがない。結果、このちょっとチャチな音楽とともに、登場人物たちをいつでも思い出す映画になったのですから。一番聞いたサントラは何?と聞かれたら、お世辞ではなく『SR サイタマノラッパー』です。

音楽が一緒に歩いてくれる『ワンダーウォール 劇場版』

『ワンダーウォール 劇場版』は、京都発の地域ドラマを2020年に劇場映画化した作品で、映画化にあたり岩崎太整さんがさらにテーマ曲を書き下ろししています。

本作は渡辺あやさんのオリジナル脚本ですが、実在の学生寮をモデルにしており、100年以上の歴史をもつ寮に対して大学が建て替えを計画。居場所を奪われようとしている若者たちの、純粋で不器用な抵抗、輝きと葛藤の物語を描く傑作です。

劇伴の種類としてはあまり多くないのですが、近年の岩崎さんによる劇伴の中でも特に好きで、選ばせてもらいました。今生きる居場所の風景を、音楽が一緒に歩いてくれる感覚。冒頭の、学生寮へ帰るバスから見える街とシンプルな旋律が、見知らぬ景色を愛し慣れたもののように見せ、心をつかんでくる。素晴らしいんですよ。
多幸感溢れるテーマ曲が流れるラストこそ、「人間の根源にかかわる幸せな居場所とは何か」という映画からの問いかけを、この上なく表現したものではないでしょうか。

当日は尊敬する岩崎太整さんの劇伴のひみつを、この『ワンダーウォール 劇場版』を通して深堀していきたく思っています。さらに!劇伴に注目したらもっと世界が変わる、お勧め映画もお伺いしたいですね。

PLAZA FESTIVAL 2022
プラザ映像祭
映画をつくる劇伴音楽の力 ―『ワンダーウォール 劇場版』上映+ゲスト 岩崎太整(作曲家)

2022年10月9日(日)
15:10 開場  
15:30 開始
16:40 上映終了
17:45 トーク終了

料金: 1,800円

【一般販売】    
2022年8/5(金) 10:00より    
札幌市民交流プラザメンバーズサイト
▶市民交流プラザチケットセンター窓口  (市民交流プラザ2F/10:00-19:00休館日を除く)    
道新プレイガイド TEL 0570-00-3871 (道新本社1F/10:00-17:00 日曜定休)    

詳しくは ☞ https://www.sapporo-community-plaza.jp/event.php?num=2514

page_top