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小田香『Underground』

札幌文化芸術交流センター SCARTSで制作されている西2丁目地下歩道の映像インスタレーションシリーズ。2022年度の新作はフィルムメーカー小田香さんの『Underground』という作品で、既に4月から上映はされていたのだけど、6月11日にメイキングトークが開催されたので参加してきた。

『Underground』はタイトル通り、全て札幌市内の4つの地下ロケーションで撮影されている。あの通路に徐々に地下世界が現れて、壁の向こうに連れられるような始まりがとても好きだ。

撮影ではプロジェクターを投影して光を作り出しており、無機質な空間にセノーテが生まれ、雨水管には人の顔のお面が浮かび上がる。このお面は前作『セノーテ』の撮影の際にメキシコで購入されたものだそうで、「記憶」とは違って一種異様だが、静謐で、神聖で、何か触れてはいけない地下に宿る存在を感じ、視線を動かすことができない。「作品では神に近いものを常に意識する」という。

始まりも終わりもない『Underground』は、場にぴたりとはまった異物であり、これからゲストを迎えたら必ず案内したい。私が40年以上住む札幌の地下をロケーションとした、小田香さんの作品を。

この日は久しぶりにお会いする方々がたくさんいて、はしゃいでしまった。小田香さんはもちろん、新千歳空港国際アニメーション映画祭のDCP制作を担当してくださっている長崎隼人さん、恵比寿映像祭の田坂博子さんも。『Underground』は2023年公開予定で新しい映画にもなる。また来年お会いしましょう。

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